別冊春号 2022のシェヘラザードたち
第1夜 心外の麻酔導入は「見て,見て,見て,見ろ!」—四重苦が四重奏になるために
隈元 泰輔
1
1済生会熊本病院 麻酔科
pp.1-8
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200256
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「もともとマルチタスクをこなすのが得意じゃなくて,いろんな作業を同時に進めるのが苦手なんっすよねぇー。心外の麻酔導入って,一つでも失敗すると時間かかるじゃないですかぁー。心外の先生もあおってくるから*1だんだん焦ってきて,不安感ハンパなくって逃げ出したくなるんっすよねぇー。どうやったら上手くいくんですかねぇ?」
心臓血管麻酔は,多くのタスク*2をこなす必要があるうえにスピードを求められるため,若手麻酔科医にとっては気が重い業務である。苦手意識をもってしまうと「自分には不向きだ」とか「患者さんやスタッフに迷惑をかけたくない」という気持ちが強くなり,心臓血管麻酔から遠ざかってしまうかもしれない。一方で,プレッシャーにさらされながらも複数のタスクをあざやかにこなしている(ように見える)超人を見たことがあるかもしれない。そのような超人は脳の別々の領域で同時に情報処理しているのではなく,段取りを論理的に考え,一つのタスクを集中して素早く確実に終わらせ次のタスクに向かっている,と聞いたことがある。超人に近づくためには,タスクに優先順位をつけたうえで,一つ一つのタスクを確実にコンプリートすることが重要である。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.