行った,見た,撮った
William Thomas Green Morton④ 関係した人物 その後[1]
菊地 博達
1
1我孫子東邦病院
pp.748-752
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200340
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モートンのエーテル麻酔の実演は成功裏に終わった。しかし,この裏には少なくとも4名の重要な人物が存在し,これらの人々がいなかったら麻酔科学史は大きく変わっていたであろう。すなわち,ウェルズ,ジャクソン,ウォーレン,ビゲロウである。これらのうち後二者はボストン・ブラーミンBoston Brahmin*1と呼ばれる超上流階級に属している。メイフラワー号あるいはアルベラ号で渡米したイギリス系,多くはハーバード大学卒業で,ピューリタンの末裔と誇っている知的水準の高い上流階級である。
この4名のほか,多くのボストン・ブラーミンが関与したことにより,エーテル麻酔法はヨーロッパに急速に伝播した。この医学に衝撃的な影響を与える出来事が,医学界における米国の存在感を示す先駆けとなった。一方,米国内においても,エーテル麻酔の発見以降のハーバード大学医学部,マサチューセッツ総合病院(MGH)などの医師たちの先進的な活動により,医学界もやや保守的であったフィラデルフィアやニューヨークに対し,革新的なボストンの存在感が次第に増してきた。
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