徹底分析シリーズ 痛み治療の素朴な疑問に答えます
アロディニアの原因とされる説が否定された経緯を教えてください
山中 博樹
1
Hiroki YAMANAKA
1
1兵庫医科大学 解剖学講座神経科学部門
pp.142-145
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200123
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末梢神経が損傷されると,種々の痛みを経験することはよく知られている。損傷神経の支配領域相当での自発痛や灼熱痛,四肢を失った場合の幻肢痛などが挙げられるが,末梢の残存した神経領域への刺激が重篤な痛みを誘発することが神経障害性疼痛の特徴であるとされる。この誘発性の痛みには,アロディニアと痛覚過敏がよく知られている。特に機械的アロディニアは,健常者であれば痛みと感じない程度の刺激が痛みとして感じられる病態であり,衣服による摩擦などの日常的な刺激ですら痛みを生じさせるため,生活の質を大きく毀損する。アロディニアの病態メカニズムが不明であったため,著効する特異的な薬物も開発されておらず,アロディニアの形成過程の解明が待たれている。このアロディニアのメカニズムに迫るとされた発見が,本稿のテーマであるAβ線維の発芽「A beta sprouting」と呼ばれる現象である。
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