徹底分析シリーズ 研修医の素朴な疑問に答えます 薬あれこれ
麻酔薬により脳代謝と脳血流量のカップリングはどのように変化するか
宮崎 智之
1
Tomoyuki MIYAZAKI
1
1横浜市立大学医学部 麻酔科・生理学
pp.756-758
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102194
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外界からの刺激により誘発される局所的な神経細胞の活性化は,急速かつダイナミックな脳代謝の亢進を伴う。そのエネルギー需要に呼応して,局所的な脳血流量の増加が秒単位で生じる。活動や基本的機能の維持のため,神経細胞は多くのエネルギーを消費するが,局所的なエネルギーの貯蔵はきわめて少ない。つまり,局所への脳血流量が減少すると,即座にエネルギー供給が絶たれてしまい,そうしたイベントに対して神経細胞は非常に脆弱である。したがって,局所循環においては,脳血流量を維持するための複雑な機構が発達している。 通常量の麻酔薬の使用では,神経細胞の恒常的活動を妨げるほどの脳血流量の低下は認められない。しかしながら,脳神経疾患を有する患者や脳外科手術の麻酔においては,より厳密な麻酔計画が要求されることがある。そこで,本稿では,脳代謝と脳血流量の正常なカップリング,およびそれに対する麻酔薬の作用について,最新の文献を交えて論じる。
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