症例検討 術中の低酸素血症1
呼吸器合併症のある患者に発生した低酸素血症―よくある気道内圧上昇と思ったら…その裏に潜む怖い合併症
渡部 達範
1
,
飛田 俊幸
1
Tatsunori WATANABE
1
,
Toshiyuki TOBITA
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科 麻酔科学分野
pp.1218-1223
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102002
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症例
70歳の男性。身長170cm,体重73kg。腰椎すべり症に対して後方固定術が予定された。20本/日×40年の喫煙歴があり,肺気腫と診断されている。痰や嗽,日常生活での軽度の息切れといった呼吸器症状を認めた。%肺活量は88%,1秒率は58%で閉塞性換気障害を認めた。室内気での経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は95%,胸部単純X線写真では横隔膜の平坦化と過膨張が認められ,胸部コンピュータ断層像(CT)ではブラが散在していた。内服中の薬物はないが,肺気腫に対して長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウムと,長時間作用性β2刺激薬のサルメテロールを吸入している。これまで手術歴はなく,薬物や食物に対するアレルギー歴はない。
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