徹底分析シリーズ 感染を防ぐ
手指衛生とSSI予防―手術室で麻酔科医が行う医療関連感染症対策
宮津 光範
1
,
祖父江 和哉
2
Mitsunori MIYAZU
1
,
Kazuya SOBUE
2
1名古屋市立大学病院 集中治療部
2名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔・危機管理医学分野
pp.432-437
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101816
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手術室に入退室時,擦式アルコール製剤で手指衛生を行いましたか?三方活栓や側注アクセスポート(hub)から静注する前に,アルコール綿で清拭しましたか?気管挿管の際の手袋を装着したまま換気バッグを押していませんか?これらは,麻酔科医の日常業務において,手指衛生が必要な場面の例です。
なぜ,このようなことに配慮が必要なのでしょう。手指衛生の不徹底や,hubの不潔な扱いは,カテーテル関連血流感染症catheter related blood stream infection(CRBSI)につながるからです。不潔な操作による気管内吸引は,人工呼吸器関連肺炎ventilator associated pneumonia(VAP)の一因です。そして手術室で成立する医療関連感染症の代表格は,手術部位感染surgical site infection(SSI)です。SSI予防のために外科医や看護師でできることも多いですが,体温管理や確実な予防的抗菌薬投与,酸素療法,血糖管理など,麻酔科医にしかできないSSI予防も存在します。不潔な手袋を装着したままの作業は,麻酔器周辺に細菌を散布し,ほかの部屋や,次の入室患者への細菌伝播の温床となります。
本稿では,手術室で麻酔科医が行う医療関連感染症対策についてまとめます。
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