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◆親戚の子の成長は早いとは,よく言ったもので,まったくその通りです。姪がこの4月に小学1年生になると知り,驚愕いたしました。入学祝いを用意せねばと,慌てて本探しです。雑誌や書籍作りを生業としている者として,甥・姪への,誕生日やクリスマスなどのプレゼントは,「本」もしくは「図書カード」と決めているからです。
普段はあまり近寄らない児童書コーナーに足を踏み入れるのは,楽しいものです。100刷以上を重ねる名作が,児童書の世界にはたくさんあり,かつて,自分が読んでワクワクしたタイトルが,装丁もそのままに,並んでいるのです。
◆小学3~4年生の頃に,児童用の「レ・ミゼラブル」(タイトルは「ああ無情」でした)を繰り返し読みました。冬でした。ただ悲しいかな,居間のヒーターの前を陣取って,寝転がりながら夢中で読んだことは記憶にあるのに,肝心のストーリーをまったく覚えていないということを,先日,映画「レ・ミゼラブル」を鑑賞して知りました。
ほかにも,幼い頃に読んだ本が,書店にはたくさん並んでいるのに,どれを手にしても,ストーリーはあまり覚えていませんでした。となると,子供の時に本をたくさん読んで欲しいという,甥・姪に対する私の願いは何の意味があるのか,疑問が生じなくもありません。ただ,自分の人生で「本」の存在がとても大きいことは間違いありません。
◆幼少期の読書で得たものは何か。国語力でも,集中力でも,ましてや教養なんかでもありません。あえて言えば,「想像力」かも。知らぬ間に主人公に同化して,時空を超えた旅をすることができるのは,想像力が豊かな幼い頃にしかできないでしょう。あんなワクワク体験を,甥・姪にも味わって欲しいと,本選びをしている自分に気がつきました。
とはいえ,本との出会いは,年齢や興味が一致しないと,うまくワクワクできないもので,贈り物として選ぶのはとても難しい。しかも,小学校入学前の姪が,どれくらいの読解力を有しているのか不明,というのも悩みの種です。親切にも,最近の本には対象年齢が示されていますが,文字の読み書きが始まる時期は,個人差の大きいものなので,あまり当てにはできません。で,あれこれ悩んだ末に,“自分が欲しいものを贈る”という最も基本的な贈り物の精神に立ち返り,猫のお話を選ぶことになるのです。
◆ところで,LiSA創刊時からのポリシーに,「自分が読みたい雑誌を作る」というものがあります。これも,贈り物の精神です。
編集委員,編集協力委員の,全員とは言わないまでも,企画・制作にかかわる誰かが,「読みたい」「面白い」と感じる記事を満載にして,今月号も読者へ贈ります。
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