連載 ヒューストン留学記(その後):76
人の余命は延ばせない!
石黒 達昌
pp.214
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101764
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- 文献概要
ペニシリンは元々,真菌が作っていた,細菌を寄せつけないための物質でした。遺伝子工学が成立するために欠かせなかった制限酵素は,そもそも細胞が日常的に使っていたもの。電波や電気だって,雷や静電気の自然現象から発展してきたものです。放射能はウラン鉱が教えてくれたものですし,クォークやニュートリノも,別に人間が作ったものというわけではありません。何が言いたいのかというと,科学はすべて自然を敷衍したものにすぎないのではないか…これは昔から現在まで変わらない私の持論です。一言で言えば,どんなに頑張っても,科学は自然を超えられないというわけです。
ところで,ジューヌ・ベルヌとH・G・ウェルズは,言うまでもなくSF界の二大巨匠です。でも,その二人の作品には決定的な違いがあるというのはご存知でしょうか。月旅行に地底探検と,ベルヌの描いた未来が次々と実現されているのに対して,ウェルズのタイムマシンや透明人間は,どれも実現には程遠いものばかりなのです。
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