特集 救急搬送とケア
病院における搬送判断基準
下川 浩
1
,
山口 善行
1
,
広瀬 賢三
1
,
石川 哲
1
,
山田 薫
1
1エンゼル病院
pp.122-126
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901188
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はじめに
以前,筆者の1人下川がまだ大学の医局に在職中,開業された先輩の先生方に久しぶりにお会いすると「先生白髪が増えましたね」「下川,開業は大変なんよ」というような会話で話が始まることが多かったように思います。今,気の合う仲間3人で産婦人科病院を開業して5年目,会う人ごとに「白髪が増えましたね」と言われる立場になりました。なぜ,開業すると白髪が増えるのか?毎日の診療はそれなりに楽しいはずなのにと思いつつ,自分の白髪の原因を考えてみると,これは決して毎日等差級数的に白髪が増加するのではなく,一気に増加する出来事が何度かあったからではないかと思いつきました。
産科の診療を考えてみますと,これほどおもしろい診療科も他にないのではないかと思うのですが,時々,もうやめたいと思うほど気が滅入る事態に陥ることがあります(最終的にはハッピー・エンドで終わることがほとんどですが)。その時点では,医師が気が滅入るのですから,ご両親やご家族の失望はいかほどかと推察されます。そして,こうした数時間,数日,数週間の間に,白髪は一気に増加するのでしょう。このようなご両親やご家族が失望され,医療従事者が気が滅入る事態を避けるために,「患者の適切な搬送」は重要な意味があります。
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