症例検討 麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 3
覚醒遅延を起こした患者
肥満があったらどうなるか
小倉 明
1
,
安藤 富男
1
OGURA, Akira
1
,
ANDO, Tomio
1
1帝京大学医学部附属溝口病院 麻酔科
pp.1006-1009
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101051
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麻酔覚醒遅延は臨床の現場で遭遇する頻度の高い偶発症・合併症であり,種々の原因が複雑に関与して引き起こされる(表1)。原因により,経過観察のみで対応できるものから脳梗塞のような積極的治療を要するものまで,さまざまである。
前回覚醒遅延をきたした患者に対して全身麻酔による予定手術を行うための,インフォームドコンセントと手術麻酔の進め方は,覚醒遅延の原因を検索するところからはじまる。術前評価を綿密に行い,術前合併症を洗いだす。覚醒遅延も含めた合併症を予防するよう最適な麻酔計画を立案する。患者に覚醒遅延をきたした原因(推測である場合が多いが),今回の麻酔計画の内容を説明し,同意を得る。立案した麻酔計画にもとづき,必要であれば術前から合併症に対する治療を行い,各種モニターを使用して麻酔深度,循環,呼吸,体温を監視して注意深く麻酔管理を行い,術中,術後の合併症の発生を予防する。
麻酔覚醒遅延は術前合併症が関与している可能性もあり,合併疾患の把握,術前の補正や治療,的確な麻酔管理により,覚醒遅延の予防のみならず,さらに重篤な合併症の発生(心筋梗塞,脳梗塞など)を防止することが重要である。また,覚醒遅延による肺合併症や離床,経口摂取,消化管機能回復の遅れによる不利益が生じないよう周術期管理を進める。
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