徹底分析シリーズ 緊急輸血:予期しない,あるいは予想を超えた出血
緊急大量輸血の実際と問題点:敵を知り,己を知り,危うきを事前に回避
入田 和男
1
IRITA, Kazuo
1
1九州大学病院 医療安全管理部
pp.628-635
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100968
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日本麻酔科学会の麻酔関連偶発症例調査1)により,出血は手術室で発生している危機的事態によって死亡の転帰をたどる偶発症の原因の半数に達していることが示された。これを受け,日本麻酔科学会と日本輸血学会(当時)は合同で『危機的出血への対応ガイドライン』2)を作成し,2007年4月に発表した。その後,本ガイドラインによる救命率の変化を探ることを一つの目的とした厚生労働省科学研究班が順天堂大学の稲田英一教授のもとに組織され,麻酔科・救命救急センター・産科・輸血部を対象とした実態調査が3年間に渡って実施された3~5)。
本稿では,このような調査で明らかにされた問題点を指摘しながら,緊急大量輸血の考え方について,私見を交えながら解説する。
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