トロント小児病院見学記
小児心臓麻酔レポート:麻酔導入編
増江 達彦
1
1中濃厚生病院 麻酔科
pp.476-483
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100937
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私は過去に,県立岐阜病院(現:岐阜県総合医療センター)において,年間50~100例の小児先天性心疾患の手術の麻酔を行ってきた。県立岐阜病院では,1997年に東京女子医科大学から小児心臓外科医が赴任して以来,小児先天性心疾患の手術がまとまって行われるようになった。それまで岐阜大学関連病院で小児先天性心疾患の手術の麻酔を経験できる機会はなかったため,初めは本を読んだり,心臓外科医から指導を受けたり,外から麻酔科医を呼んで指導してもらったり,1~4日程度の他施設見学に行ったりと,試行錯誤で麻酔を始めた。
麻酔の経験数が増え,治療成績も安定するようになったものの,「本当にこの麻酔管理でよいのだろうか」という疑問は常々持っていた。特に,「体外循環離脱後にそのまま離脱してよいのか,心内修復不完全として体外循環に戻ったほうがいいのか」,ということについては判断しかねていた。そのため,まとまった期間で系統だって小児心臓麻酔を見学したい,という願望を抱くようになった。その後,中濃厚生病院に転勤となり,しばらく小児の心臓麻酔から離れることになったが,今春から再び岐阜県総合医療センターに戻るにあたり,土肥修司先生(岐阜大学)と中濃厚生病院のご厚意で,トロント小児病院での心臓麻酔の見学(2009年9月~10月)が実現した。
今月号から3回にわたり,そこで見た心臓麻酔の様子を報告する。
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