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国公立大学法人化と新臨床研修制度がもたらしたもの:深刻なマンパワー不足,研究活動への影響は?
溝部 俊樹
1
1京都府立医科大学 麻酔科学教室
pp.304-306
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100899
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国公立大学法人化
競争的環境のなかで世界最高水準の大学を育成するために大学の構造改革を進めるという理想を目指して,2004年(平成16年)4月から日本中の国公立大学が国公立大学法人に移行した。大学に法人格を与えることで組織・予算面での自由度が大きくなり,時流に合わせたダイナミックな組織やポジションの変革が迅速に行えること,また,兼業規制が緩和されることで産学共同研究のハードルが低くなること,などの利点が得られることから,この改革により大学の研究活動は著しく高くなると考えられていた。また,労働基準法を遵守する法人となったことから,職員の待遇も改善するとの目算であった。
一方,大学にとっては,特に巨額の赤字を抱えている付属病院を持つ医学部では,独立採算の原則と国からの運営交付金の漸減という冷たい現実から,研究活動ではなく臨床診療体制の確保という,当初の法人化の目標とはまったく異なった対応を取らざるを得なかった。
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