徹底分析シリーズ 動脈穿刺/動脈圧測定(各論)
Insyte-Aのガイドワイヤー改良:理想的なガイドワイヤーとは
鈴木 利保
1
,
長谷川 啓一郎
1
Toshiyasu SUZUKI
1
,
Keiichiro HASEGAWA
1
1東海大学医学部外科学系診療部 麻酔科
pp.746-751
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100365
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動脈留置カテーテルInsyte-ATMは,新しいタイプのガイドワイヤー付き動脈留置カテーテルであり,随所に優れた構造を持っている1,2)。しかしながら,医療安全対策上問題となる点も見受けられる。それはガイドワイヤーの構造にある。中心静脈カテーテルにかぎらず動脈留置カテーテルでも,金属針を通してガイドワイヤーを挿入するタイプのセルディンガー法では,ガイドワイヤーのロッキング現象*1を起こす可能性がある3,4)。
これはガイドワイヤー挿入時に,針先の固定が不十分なためにガイドワイヤーが血管外で屈曲することが原因である。また,こうしたロッキング状態で無理にガイドワイヤーを引き戻すと,破断したガイドワイヤーの一部が血管内に遺残する例もある4)。このようなガイドワイヤートラブルは圧倒的に中心静脈カテーテル挿入時に多いが,ガイドワイヤーを用いた末梢動脈留置でも,患者の体内でガイドワイヤーが破損して破片が残留し,外科的処置を必要とした事例が報告5,6)されている。
そこで本稿では,Insyte-Aの構造的特徴を述べ,最も問題となるガイドワイヤートラブルの成因と対策およびダミーアーム試験を通して得られた理想的なガイドワイヤーについて言及する5)。
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