徹底分析シリーズ 動脈穿刺/動脈圧測定(総論)
動脈カテーテルの挿入と感染管理:感染防止対策の重要ポイント
川村 隆枝
1
Takae KAWAMURA
1
1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 麻酔科
pp.642-645
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100357
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近年,動脈カテーテル,中心静脈カテーテル,肺動脈カテーテルなどの血管内カテーテルが臨床において多用されるようになり,血管内留置カテーテルによる血流感染が注目されている。なぜなら,重症カテーテル感染は,患者のQOLを落とすのみならず生命予後を左右する重大な問題となるからである。また,院内感染対策上からもきわめて重要な問題である。カテーテル挿入,カテーテル留置の手技は,皮膚というバリアーを突き抜けて直接血管と外界とを連絡づけることであり,管理上の不備は病原体の直接の侵入を許すことになる。したがって,清潔な挿入方法とドレッシングが必要とされる。
血管内留置カテーテル感染発症のメカニズムには,①カテーテル挿入部の皮膚常在菌がカテーテルの外壁を伝って侵入する,②輸液中に増殖した菌や三方活栓などの連結部から侵入した菌が管腔内を通って遊走してくる,の二つのパターンが挙げられる。侵襲の大きい手術や高齢者,新生児,糖尿病,心疾患などの基礎疾患合併症例,ステロイド,免疫抑制薬の投与中の患者は,カテーテル感染の要注意者である。
本稿では,米国疾病管理予防センターcenters for disease control and prevention(CDC)のガイドライン1)を参考に,動脈カテーテルの感染防止対策における重要ポイントを述べる。
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