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■“麻酔科医が少ない”が多少なりとも解消し,一般の人たちの感心が薄れてきたら,次は,福島県大野病院での医療事故に始まった,産科医が足りないという報道。今月号の徹底分析は今とてもタイムリーな「岐路に立つ産科医療:麻酔科医はいかにかかわるか」です。しかしこうした問題は,医師の側の問題としてのみ解決がはかられるのではなく,社会全体での取り組みが必要なはずです。しかし,報道をみるかぎりでは,医療を受ける側は被害者として,医療を提供する側とされる側との対立のみが語られ,医療を受ける側でなされなければならない取り組みがあるはずですが,それが示されていないような気がするのですが,なぜでしょうか。
病院のあり方を考えても,その集約化を拒んでいる一つの原因が患者というのは考え物です。以前,へき地医療に携わっている方が,普段は自分の診療所にくるその地域の人でも,ちょっとした病気になると,車で街の総合病院に行ってしまう,と嘆いておりました。車という手段を考えると,わが国には,離島を除くとへき地はないということになります。
消費者としての患者側にしてみると,「わが町の“やぶ”よりは遠くの“名医”」であり,それはもうすでに誰もが行ってる選択のはず(全国の名医ガイドが多数出版されていることからもわかります)。したがって,わが町に病院がないということをマイナスに考えるのもおかしなことです。病院のセンター化をはかり,かつ,そうしたセンターの利用が的確にできる交通網ならびに宿泊施設の整備が重要ではないのでしょうか。
しかし,こうした問題の根底に医療に対する不信感があるなら,それはどこからくるのか,ちゃんと検証しないといけません。プロ野球の裏金問題や保険会社の未払いをはじめ,ここのところニュースは隠蔽や捏造の話題ばかり。もしかしたら,これが戦後日本が追い求めた“オウベイカ!?”だったりして…
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