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■上方落語には今ひとつ馴染めなかったにもかかわらず,なかでもそのオーバーアクションが好きになれなかった桂枝雀であったのに,どうして見る気になったのか,NHK『落語家 桂枝雀の世界』を見,いろいろなことを認識させられました。なかでも,枝雀の弟子,桂九雀が次のようなことを話しているのが耳に残りました。「教え方が最初から理論的で,何でここで息を吸うたらあかんのか,ここで吸うべきなのかということを言ってくれはるんで,理論的に考えているということですね。理論なくやっていたらその場限りだと,ちゃんとしたした理論,原理がわかれば量産(大量生産という意味ではないけど)できるのではないかと。同じ理論でいけば,この噺はここをこうすればもっと面白くなる,ということが理論的にわかりますよね。だから噺を改造するうえでも,そうした理論が役に立つはずだ」と。もっとも,枝雀という人は,理屈抜きに面白い人でしたと,締め括っていましたけど。
そんなことが気になったのは,今月末に上梓される“Anesthesia Unplugged : A Step-by-step Guide to Techniques and Procedures”(中田善喜・水野 樹監訳『麻酔の達人:実践麻酔手技免許皆伝』)の序文にある,“Keep in mind, this is a“how-to”procedure book, but don't view this book as a way of making procedures“routine.”No procedure is routine, for no patient is routine. They each have a story to tell.”の文章のせい。古典をそのままなぞっていてはだめ,という立川談志と同じことを言っています。
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