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ここが変わった!
●過去のスタンダード
・ストレプトキナーゼ(streptokinase)やウロキナーゼ(urokinase)などの線溶酵素(fibrinolytic agent)のうち,前者は2005年のMIST-11)で臨床アウトカム(手術回避・死亡率・入院期間)に改善効果なく,膿胸へは使用推奨されていない(本邦を含む多くの国で適応外または使用中止).一方で,本邦では後者の膿胸に対する保険適用やRCTはないが,小規模な排液量増加・画像改善の報告があり,胸腔内投与を選択する場合があった.
・出血のリスクのある膿胸では,生理食塩水による胸腔洗浄が多く行われてきた.
・過去から現在においても画像診断のスタンダードであるが,split signはドレナージを要する複雑性胸水や膿胸を示唆することを報告している2).
●現在のスタンダード
・胸水貯留症例では1/3程度で肺炎像を伴わない“primary pleural infection”を生じ,検出される起炎菌は口腔内の細菌profileと同様であり,血流感染の可能性も示唆されている.
・以前は“画像所見や膿性”で一律に膿胸か否かを判断していたが,RAPID scoreはさらに予後のリスク層別化を行い低リスクは保存的に,高リスクは早期外科または胸腔内酵素療法(intrapleural enzyme therapy;IET)*を考慮する.
*本邦の膿胸に対して保険適用のない線溶酵素のtPA(tissue plasminogen activator;アルテプラーゼ)とDNA分解酵素(DNase:デオキシリボヌクレアーゼ;ドルナーゼアルファ)の併用療法のこと.urokinaseは正式推奨外である.
・抗菌薬の選択で嫌気性菌カバー必須が強調され,6週以上の治療は必要ない場合が多いとされる.
・生理食塩水洗浄(saline irrigation)は,海外においては出血のリスクのためIETや手術不能例などオプション的な扱いである.
・胸部造影CTによる隔壁化,残存膿瘍評価が推奨され,経過観察におけるpoint-of-care超音波(POCUS)の活用が増加している.

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