印象記
医学会総会の恩恵
高木 健太郎
1
1名大医学部第一生理学教室
pp.207-208
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906286
- 有料閲覧
- 文献概要
どんな小さい学会であれ,これを引受けた当時者の苦労は大きい。まして数万という人の集る大会を開くとなると,その心身両面にわたる努力はなみ大抵ではないと思う。今回の大阪の総会では3万2千の人達が集り,外人の特別講演22題,総会演説は58題,シンポジウムは71題,その上に展示,映画,テレビ,観光とまさに一大祭典であつて開催者の御尽力に深甚の謝意を表したい。
準備にたずさわつた方々は,当初から,従来の学会を検討もし,大会の意義,あり方を論議し,多くの人の意見を採択参考とし,何等かの特異性を持たせるとか,新奇の企画を組みこもうとか,随分と苦心されたことと思う。結果的には思わぬ障害が入つたり,自然の勢で思わぬ方向に流れたり,却つて予想以上の成果があつたりで不満も多かつたかも知れぬが,やはりあげた満足感も味われたにちがいない。局外者からみると,外人学者が多く,国際的の色彩が強かつたこと,分科会と総会を適当に織りまぜて一体とし,各その特徴を発揮するようにしたこと,実地医家に対してはcontinuing medical educationとして意義を持たせようとしたこと,また医学と医療の実際とを医師会と共に討議して浮き上り勝ちな医学を医療社会に直結したものとして把握させようとしたこと,一般国民にも映画,展示で医学への認識,関心を深め,宣伝的効果をもねらつたことなどが感じられる。
Copyright © 1963, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.