第38回日本生理学会シンポジウム総括報告
(4)副腎皮質電解質ホルモンの生理
中尾 健
1
1東京慈恵会医科大学薬理学教室
pp.177-182
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906194
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副腎皮質電解質ホルモンの研究は,Cortisol系の所謂Glucocorticoidsの素晴らしい臨床効果とそれに伴つた輝しい研究進展のため,その陰にかくされ,甚だ低調の感があつたが,1952年Simpson & TaitによるEl ectrocortin(Aldo-sterone)の発見と,これが浮腫性疾患等との間にある密接な関係のあることが次第に判明するに及び副腎皮質電解質ホルモンに対する関心は俄かに高まつて来た。しかしながらこの方面の研究は基礎的研究よりむしろ臨床方面に於いて盛んであり,基礎方面の一層の発展が期待されていた折から第38回日本生理学会総会に於いて吉村会長が本課題をとりあげられたことは真に意義深く,敬意を表するものである。
シンポジウムは先ず千大生理福田篤郎教授の副腎電解質ホルモンの生理に関する解説口演で開始され,まず副腎皮質電解質ホルモン研究の歴史的進展について教授の見解と紹介があり,結論として福田教授は多年の教授自身の業績を基礎として今後の研究者は次の4点について注意すべきことを強調された。(1)Aldosterone分泌量は皮質糖質ステロイドに比し極めて僅少であり,その尿中排泄量は分泌量の極く一部に過ぎず,又肝に於ける代謝に支配されるため,尿中排泄量よりしてAldosterone分泌情況を伺うことには問題がある。
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