研究室から
DNA研究の中心,金沢大学医学部医化学教室
高木 康敬
1
1金沢大医化学
pp.49
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906177
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金沢医科大学医化学教室は今なお多くの人々に須藤憲三先生の名をなつかしく思い出させることであろう。来年は先生が教室を開講されてよりちようど50年目にあたるが,この間先生が非常な熱意をもつて工夫された研究室また実験法は,名著を通じて長く人々に感銘を与え,その後この伝統を継がれた岩崎憲名誉教授の独創的なアゾトメトリーの定成と相俟つて,当教室を日本の医化学界における異彩ある存在としてきたのであつた。しかしながら一昨年岩崎名誉教授の退官されるとともに,教室は古典生化学のこの輝かしい歴史をとじ,ここにあらたに近代生化学への途を出発した。
高木教授は大阪大学医学部を卒業し,最初はアミノ酸の中間代謝の研究を手がけた。しかし程なく,その頃生物学的機能のようやく明らかにされ始めた核酸に深く魅せられ,1953年渡米,ウイスコンシン大学医学部マッカードル癌研究所のポッター教授の指導をうけ,この研究を開始した。さらにNational Institutes of Health(ベセスダ)のホレカー博士から最近の酵素化学を学んで帰国したが,この留学期間に当時はなやかに展開されたOchoa, Kornbeng教授のRNAおよびDNA合成酵素の研究に非常な感銘をうけた。そして昨年当地に赴任して以来教室の近代化に努力し,今年5月を期して本格的に核酸の研究に入つたのである。
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