研究室から
比較生化学をもつとさかんに
K. M.
pp.289-290
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905974
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「あなたはなにをやつておられますか」という質問に,「いろいろな動物で,比較生化学的に筋蛋白をつついています」とこたえると,よくもまああきもせずにおやりですねという表情をされる。そこで,「ほかにやることがありませんし,能力も設備もありませんからね」とくわえると,さもおかわいそうにというふうである。
ここで,問題がはじまる。
生化学にかぎつても(おそらく生理学にも通ずることとは思われるが),いちばんすばらしいと思われる,あるいは各研究者のなしとげたい研究とは,A. Szent-Györgyiがいみじくもいつているように,多くの人々がみてきて,しかも考えなかつたような現象をとりあげて,そこからみのりゆたかな領域を発展させることにあるであろう。もしくは,生命現象のうち基本的なものについて現在の段階で,メカニズムの解明にエポック・メイキソグなしごとをなすことであろう。あたらしい酸素や代謝素を発見することもふくまれることであろう。
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