Japanese
English
報告
白鼠肝サイクロフォラーゼによるP32 labeled ATPの調製法
Preparation of P32labeled adenosine triphosphate by the use of the rat liver cyclophorase system
野原 広美
1
,
緒方 規矩雄
1
,
守田 トミ
1
Hiroyoshi Nobara
1
,
Kikuo Ogata
1
,
Tomi Morita
1
1新潟大学医学部生化学教室
1the Department of Biochemistry Niigata University, School of Medicine
pp.313-315
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905896
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アデノシン・三・燐酸(ATP),殊にその高エネルギー性燐酸は燐酸代謝で重要な役割を演じているのみでなく,諸種生化学的合成反応に力源として直接関与している事が知られており,その重要性はいくら強調してもしすぎる事はないと云えよう。そこで燐酸代謝の詳しい研究や生体内合成反応における高エネルギー性燐酸の役割等に関する研究では,P32で標識したATP(P32-ATPと略)を作成し,それを用いて実験する事が望ましい。
このようなP32-ATPの作成については初めFlock and Bollman1)により後Dounce等2)により報告されている。彼等は何れも動物にP32を注射し,その筋肉よりATPを抽出精製するという方法を採用した。然し,かゝる方法では,生化学的実験に供し得る程度の高い比放射能を持つものが得られなかつた。然し,最近Hems and Bartley3)はATPの末端の2つの燐酸が呼吸している組織の浮遊液で容易に無機燐と交換するというKrebs等4)の実験に基づいて,in vitroの酵素標本を用いて初めて高い比放射能をもつP32-ATPを調製した。彼等は酵素系として後述の理由で羊の心臓ホモヂエネートを用いているが,これは少くも我々には容易に入手し難い。
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