Japanese
English
論述
藥物作用型式—濃度作用曲線の立場から
Mode of action of drugs viewed from the concentration-action curve
松本 博
1
Hiroshi MATSUMOTO
1
1神戸医科大学藥理学教室
1Department of Pharmacology, Kobe Medical College
pp.113-126
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905804
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Ⅰ.まえがき
藥物作用機構を考察する一手段として,適用濃度と作用強度との関係曲線──濃度作用曲線(Concentration-action curve,以下C-A曲線)〔生体内実験の場合には用量作用曲線(Dose-action curve)〕──の形をグラフで調べ,これを一定の式で表現する試みは,これまで多くの人々によつて行われてきたが,未だ統一的な見解が得られているとは云い難い。1937年頃までのC-A曲線に関する諸家の業績も含めた定量藥理学の諸問題に就ては,Clarkが自身の批判的な見解と共に,そのすぐれた綜説1)2)にまとめているが,従来C-A曲線の考察には概して断片的なものが多く,その綜合的な把握にはなお物足りないものが感ぜられる。我々はC-A曲線に若干の知見を補遣し,その綜合的理解に幾分寄与し得た様に思うので,ここにこれまでの文献を参照しつつ,教室で得られた成績の概要を記してみたいと思う。
C-A曲線を取扱う際,作用度の指標としては,悉無律的に判定される作用(例。生と死—死亡率)と累進的に測定出来る作用(例。筋の收縮高)の何れをとることも出来るが,以下に取上げるものはすべて後者(Concentration-graded action curve)に限定することを予めお断りしておく。
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