Japanese
English
論述
視紅を中心としだ網膜の生化学について
The Biochemistry of Retina related to Rhodopsin
古城 力
1
Tsutomu KOJO
1
1水戸赤十字病院眼科
1Department of Ophthalmology, Mito Red Cross Hospital
pp.80-87
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905797
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まえがき
眼の網膜視細胞には桿休,錐体の2種類があり,前者には視紅(Rhodopsin, visual purple)或は視紫(Porphyropsin, visual violet),後者には錐体物質という感光色素が存在している。視紅或は視紫は低照度の時に活動し,錐体物質は高照度時に働いてその上色覚にも関与している。視紫は淡水魚の網膜に存在し,陸上動物及び海水魚の大部分は視紅をもつている。海水魚の中には視紅と視紫の両方を保有しているものもある。視紅,視紫は光に敏感で,光又は熱により容易に分解し,暗順応により再び単時間で視紅或は視紫に合成される可逆反応を行つている。この内で視紅に関しては昔から極めて沢山の研究がなされているが,その構造は未だ決定されずに研究者によつて色々違つた推論がなされている。現在誰でも一致した意見は一種のchromoproteinであろうと言う点である。又ビタミンA欠乏症には特発性夜盲症が起ることは昔から知られた事実であつて,視紅の発色団であるchromophore groupはビタミンA或はその誘導体が関係していることも確実である。最近数年間のWaldの研究殊にretinene reductaseの確認により視紅の分解合成過程が明らかになつてから多くの学者によつて急速の進歩が見られた。
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