展望
「自然免疫」概念の再検討(1)
川喜田 愛郞
1
1千葉醫科大學細菌學教室
pp.197-200
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905575
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細菌學・免疫學の歴史的な理解が今日における斯學の問題の所在を探る上に極めて有力な方法の一つであることについて,わたくしの信頼はちかごろ日とともにふかい。(1.2.3.4)
さきに「血清學の黎明期の歴史」(3)と題する論文を記述したあと,わたくしは年代的にそれに續く二三の重要な業績を中心に古い文献を渉獵しながら,それが發展して現在どのような相貌をとるに至つたかを考察する仕事を自分に課した。餘事に妨げられてその勉強はなかなか捗らず,いつの日にそれが形をとるか差し當つてはつきりしたあてがないが,その前に,やや傍き道ながら,かねがね氣にかかつていて前報(3)でも輕く言及せざるをえなかつたところの一つの問題,いわゆる自然免疫について自分の考を一應まとめておくことが,これまでの記述を補足する上にも,また話をこれから先に進めるためにも,一つの大切な手續きではあるまいかと考えるに至つた。
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