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特集 研究室で役に立つ新しい試薬
蛋白質,その他修飾試薬
光反応試薬
光反応試薬(総論)
Photoactivatable reagents
岡本 洋
1
Yoh Okamoto
1
1順天堂大学医学部生化学第一講座
pp.291-294
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905282
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酵素と基質,レセプターとリガンド,などにみられる特異的認識機構は,生物現象を特徴づけるものである。これらの相互作用は,多くの場合,蛋白質などの巨大レセプター分子と比較的低分子量のリガンドの間で起こる。巨大分子上に局在する結合部位の性質を知ることは,特異的認識の生理的意味を理解するために欠くことができない。
結合部位の局在を知るためには,何らかの目じるしを付ける必要がある。SH基やアミノ基などの反応性の高いアミノ酸残基と反応する基を組み込んだアフィニティラベル試薬が多数用いられてきた。この方法の問題点は,結合部位に反応性のあるアミノ酸がなければ標識できないことと,目的部位以外でも反応性の高い残基があれば,反応してしまうことである。この点を解決するには,結合部位でのみ標識が行われ,どのようなアミノ酸とでも共有結合できる試薬が必要になる。光反応性試薬は,この要求を満足させるものである。結合部位との特異性の高い相互作用と,ラジカル反応の非選択性を兼ね備えたフォトアフィニティラベルは,分画や精製の手があまり加えられていない,自然に近い実験系で,今後その重要性が増していくものと思われる。すぐ使える市販の試薬は限られているが,合成に便利な中間化合物が市販されている。一般にまだなじみのうすい光反応試薬の特性と,それを川いた実験を行うための留意点を述べる。
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