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特集 大脳/神経科学からのアプローチ
大脳の数理モデルを目指して
Toward theory or cerebral functions
篠本 滋
1
Shigeru Shinomoto
1
1京都大学理学部物理教室
pp.134-137
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905251
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数理研究者で脳の情報処理というものに興味をもっている人たちは二つのタイプに分けることができよう。第一のグループは脳をメタファーとして新しい情報処理の原理を求めようという人たちで,第二のグループは数理モデルをメタファーとして現実の脳の機能を知りたいと考えている人たちである。生理学などからみると第一のグループは得られた情報のユーザーであり,第二のグループは研究のアドバイザーといえるかもしれない。これらのグループ分けはしかし多分に心情的なものであって,会って話してみればわかるが論文だけからは区別のつかないことも多い。生理学の提供してくれる情報もそう明快なものは多くないし,数理モデルの世界もそう豊かではないというのが現状のような気がする。著者はこの分野には門外漢ではあるが,どちらかというと情報処理原理よりも脳それ自体に興味を持っているつもりであった。そういうわけでこの原稿をお引き受けしてみることにしたのだが,いざ書く段になってはじめていただいた題目の大変さを思い知った。自分の不勉強もわざわいして,「脳」というものに対するイメージがまったくわかないというのが正直なところなのである。
そのようなわけで著者には大脳の構造と機能を一望のもとに見わたせる知識も能力もないので,そのごく一部について興味を持っていること,生理学や解剖学から学びたい点などを述べてみたい。
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