増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
10.核酸の日常染色法
フォイルゲン反応
岩原 実
pp.832-835
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905905
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目的1〜5)
核酸の主たる機能は遺伝情報の伝達である.すなわち,細胞に必要な蛋白の合成ならびにアミノ酸の結合に指示を与える物質である.核酸にはデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の2種があり,前者は主に核内で蛋白と複合体を形成し,染色体(クロマチン)として存在する.後者は細胞質内でリボソームとして粗面小胞体を形成,さらには核小体内にも存在している.
フォイルゲン反応(Feulgen reaction)は,パラフィン切片上でDNAを特異的に証明する方法で,フォイルゲン(Feulgen,1924年)によって考案された.この原理は,DNAの構成要素である2-デオキシリボースのアルデヒド基に塩基性色素のパラローズアニリンを結合させるものである.2-デオキシリボースのアルデヒド基は,DNAの加水分解によりプリン塩基を遊離させることで切片上に露出される.これをシッフ(Schiff)液中のパラローズアニリンで呈色させる.
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