Japanese
English
特集 肝細胞と胆汁酸分泌
胆汁酸の物理化学—そのミセルと液晶
Physical chemistry of bile acids: Micelles and liquid crystals
五十君 裕玄
1
,
浅川 昌平
1
Hirotsune Igimi
1
,
Shohei Asakawa
1
1福岡大学医学部第1外科
pp.91-96
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904707
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
胆汁酸は生体内界面活性剤として一般に理解されている。界面活性剤の特性はその両親媒性構造にあり,同一分子内に強い親水基と強い疎水基が共存していることである。たとえば代表的なイオン性界面活性剤であるドデシル硫酸エステルナトリウム塩(Sodium Dodecyl Sulfate;SDS)は図1に示すような構造である。すなわち-C15H25の長い鎖状の疎水基と,陰イオン-OSO3-の強い親水基をあわせ持ち,対イオンとしてNa+を持っている。イオン性界面活性剤の水溶液の物理化学的性質は,界面活性剤のある濃度において大きく変化することであり,この濃度以上ではイオン性界面活性剤は会合してミセルを形成する。この濃度のことを界面活性剤の臨界ミセル濃度(critical micelle concentration;CMC)と呼び,図2に示すごとく種々の方法で測定することができる。
図1に示す代表的な胆汁酸のコール酸(3α,7α,12α-5βcholanoic acid;CA)は疎水基がステロイド核でありSDSの鎖状炭化水素と比較して,異なった型のミセルを形成することが容易に想像できる。
Copyright © 1985, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.