Japanese
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講演
脊髄内神経終末のミクロ薬理学
The Micropharmacology of Spinal Terminals
David R. Curtis
1
1Department of Pharmacology, John Curtin School of Medical Research, The Australian National University
pp.69-78
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904704
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〈はじめに〉
この講演は,私がジョン・エックルス卿とその協同研究者たちによりキャンベラで詳細に研究されたネコ脊髄のシナプス前抑制に関心を持って以来,20年に及ぶ私の研究生活の多くを費やしてきた研究に関するものである。私は腰髄でシナプスをつくる幾つかの神経終末の薬理学的研究を微小電気泳動法を用いて行ってきた。大部分は後肢伸筋の筋紡錘に由来するIa群求心線維の脊髄前角における終末を対象としたが,他の筋やあるいは皮膚からの有髄性の一次求心線維終末,さらに最近は,赤核や外側前庭核からの下行性線維終末も研究対象としている。
同定などが比較的容易であることを別とすれば,この伸筋Ia群線維終末を中心に研究した理由は,伸筋の単シナプス反射が屈筋からの低閾値求心線維の刺激により減弱するというのが,シナプス前抑制のうちでももっともよく研究されてきたタイプだからである。図1Aに下腿屈筋神経の斉射による腓腹筋反射の抑制が示してあるが,この長持続の抑制(図1C)には腓腹筋神経Ia線維の脱分極が随伴しており,この一次求心線維脱分極(primary afferent depolarization, PAD)は後根電位として容易に記録できる(図1D)。
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