Japanese
English
特集 中枢神経系の再構築
小脳への神経組織の移植
Neural transplantation in cerebellum
川村 光毅
1
,
鈴木 満
1
,
谷口 和美
1
,
二宮 修也
1
Koki Kawamura
1
,
Mitsuru Suzuki
1
,
Kazumi Taniguchi
1
,
Shuya Ninomiya
1
1岩手医科大学第1解剖学教室
pp.338-347
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904608
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中枢神経系内へ神経組織を移植したとき,それが生着し,脳や脊髄内に再生機序が起こり,かつ機能的にも修復がみられるかという問題は,少なくとも哺乳類に関しては,研究の中心課題ではなかったように思われる。脊椎動物全般の再生の問題に関しては,Clemente7)の総説をみられたい。
筆者らはネコやマウスを用いて,主として橋核小脳路18)やオリーブ小脳路17)の投射様式および構成について研究してきた。下オリーブ核から小脳皮質への投射にはネコ6,17)においてもマウス2),ラット13)においても精密な局在関係が存在している。また,前庭神経核や前庭神経節からの小脳投射は,完成した脳における構成をみる限り,原始小脳と呼ばれる古い小脳皮質の領域に大部分が投射している。このような投射パターンの構成はどのようにして形成されていくのであろうか。小脳求心線維の終末と標的細胞の関連の問題をどのように追求できるか。これらの点を考えてゆくうち,筆者らの関心は発生学的なものに近づいていった。昨年(1983年)末に,筆者らの一人(川村)は日本学術振興会の援助(特定国派遣事業補助金)を得てロンドンの国立医学研究所に十週間滞在し,Raisman博士らと共にラットの前庭神経節を小脳皮質の第X小葉に移植する実験を行った。
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