Japanese
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解説
膜脂質の存在状態—脂質流動性,天然膜と人工膜の異同
Lipid bilayer in membrane
井上 圭三
1
Keizō Inoue
1
1国立予防衛生研究所化学部
pp.409-426
発行日 1974年12月15日
Published Date 1974/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903018
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はじめに
生体膜の主要構成分がタンパク質と脂質であることは衆知の事実である。最近SingerとNicolson1)は"fluid-mosaic model"を新しい膜のモデルとして提出し,一般に受け入れられるに至つている。膜脂質の主要成分はバクテリア,植物,動物にわたつてリン脂質であり,動物の表面膜やリソゾーム膜ではコレテスロールがリン脂質と約等モル存在する。X線回折,NMR,ESRなどの機器分析やその他以下述べるような天然膜と脂質人工膜の類似点から,膜脂質の約80%以上はいわゆる二分子層を形成していることは疑いないとされている。残りの"minority"としての脂質がどのような存在様式をとつているかについての知見は乏しい。今回ここで述べるのも"majority"としての脂質の存在状態についてである。二重膜を構成している脂質は流動性に富んでいて通例生理的条件の下ではいわゆるスメクト型液晶構造(smetic mesophase,liquid crystal)をとつている。スクメト型液晶とは液体と結晶の中間の性状を示す構造体のうち等方性を二方向に対して示すものをいう。
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