話題 第27回国際生理科学会議衛星シンポジウム印象記・1
心筋細胞の電圧固定法についてのシンポジウム
入沢 宏
1
1広島大学・生理学教室
pp.487-488
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903223
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心筋細胞膜のイオン流を知るための最も直截的方法として電圧固定法が利用されているので,この方法についてはすでに本誌で再三,問題点の指摘が行われてきた1〜3)。今年も国際生理学を機会に方法についての討論会がポアチエ大学のGargouil教授の主催で行われた。ポアチエはパリの南方約500kmにある古い都市でローマ人の旧蹟や百年戦争時代の城や教会が沢山ある町であったが,郊外にある大学は壮大で新しく,これからの大学という感がした。第1日目に骨格筋についてはAdrian教授,プルキンエ線維の研究回顧についてはWeidmann教授の基調講演があった他は,方法の限界と将来の見通しについてD.Nobleの司会で討論を,第2日目はH.Reuterの司会で実験結果の説明について討論が行われた。
電圧固定法の吟味は心筋ではきわめて重要な問題で,各自の標本について精細な吟味が要求されている。しかし心筋細胞に多数の細胞内電極を挿入するのが困難で,空間固定の可否については未だ議論がつづいている。ポアチエの会で最も多くの問題が集まったのもカエル心房筋の二重ショ糖法であって,同じような方法といっても各人各様の工夫があり,得られる結果にも差があるようであった(表1)。
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