話題
心筋のvoltage clamp法に関するシンポジウム
大地 陸男
1
Rikuo Ohchi
1
1自治医科大学生理学教室
pp.486-488
発行日 1974年12月15日
Published Date 1974/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903026
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ヨーロッパではフランス,ドイツ,スイスなどで心筋のvoltageclampという狭い領域でかなり多数の研究者により密度の高い研究が行なわれている。それらの人達が中心となつて心筋の生理学に関する小規模ではあるが国際的な会合が毎年のようにもたれているようである。
1970年,パリ大学(Orsay)でCoraboeufによつて組織された"心筋の電気的活動"についてのセミナーは活気にあふれていた。それはRougier,Vassort,Garnier,Gargouil,& Coraboeufがカエルで,Reuter & BeelerやMasher & Peperが哺乳類で,活動電位のプラトー形成に与るslow inward current(Ca電流)の存在を発表した翌年にあたつていた。Reuterの有名なCa電流の論文(J. Physiol)の校正刷がcoffee breakに披露されて人々はそれに群がつた。筆者もslow inward currentの実験でINaを除去するのにholding potentialを脱分極側にずらして不活性化したのはReuterと一致して賢明であつたと満足したりした。1970年の会合では,slow inward currentの存在を疑うものはいなかつた。
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