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実験講座
双面フリーズ・レプリカ法の実際と問題点
Improvement of the complementary freezefracture replica
外崎 昭
1
,
鷲岳 宏
1
,
溝口 二郎
1
Akira Tonosaki
1
,
Hiroshi Washoka
1
,
Jiro Mizoguchi
1
1山形大学医学部第一解剖学教室
pp.401-406
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903211
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はじめに:なぜ双面レプリカが必要か
凍らせた組織片を削るか,割るかしたときに露わになる断面からレプリカを採り,それを透過電子顕微鏡下で観察する。これがフリーズ・レプリカ法である。そのさい,組織片にじかに刃物をあてず,ポキリと折ってやると互いに向い合う二つの断面があらわれ,そのおのおのからレプリカを採ることができる。これが双面フリーズ・レプリカ法の原理である。フリーズ・レプリカ法が盛んに利用されるわけは,これが細胞形質膜中層の姿を明らかにしてくれるただ一つの方法だからである。凍らせた組織細胞を割ると,一般に形質膜は,超薄切片でいう単位膜構造の中層に沿って外側のE面と内側のP面とに分かれる。細胞には多くの種類があるにもかかわらず,この形質膜の割れ方はたいへん普遍的である。この"PとE"という組み合わせの単純さは,「Pを見ればそのに対応すべきEの有様は見なくとも自明である」という考え方を生む。一般にP面には,直径10nm内外の粒状体の影が多数現われ,対するEでは,その数が相対的に少ない。電顕という研究機器の特徴は何よりも微細な局所的所見の正確さにある。断面の一方のみを観察して,他方の状態は経験的に推測する,それではどこか欠けていないであろうか。よく知られているように超薄切片では連続切片をつくる仕事は苦労の多い高等な技術であるが,それに報いるに十分な貴重な結果が得られる。
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