話題
R.L.Post研究室とNa+,K+-ATPaseの研究
谷口 和弥
1
Kazuya Taniguchi
1
1北海道大学歯学部薬理学教室
pp.417-420
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903151
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PostとSkouの出会い
1974年に出版された,ニューヨーク科学アカデミー紀要242巻に,Na+,K+-ATPaseの性質と機能という題で同アカデミーの主催で行なわれた国際シンポジウムの内容がほとんど収録されている。そのまえがきにPost博士(以下敬称略)が,Na+,K+-ATPaseの回想,Na+,K+-ATPaseの発見なる副題で,1953年ころのSkouとの出会いなどについて記しているので少し引用してみよう。
場所はWoods Hole,1953年の夏のことである。Postは当時電気生理学に興味を引かれて,Grundfest研究室に滞在していた。一方,Skouは当時アセチルコリンエステラーゼに興味をもち,同じくNachmansohnの研究室に来ていた。ところが彼はここにあまり興味を引くことがなかつたと解り,もつぱらWoods Holeの浜と図書館で大部分の時間を過していた。当時彼は細胞膜のモデルになる酵素としてアセチルコリンエステラーゼを用いてきていたが,リポプロテインを用いた方がよいと考え始めていた。そこでリポプロテインであるATP分解酵素についての論文を読み始めていた。Post夫人がSkouを海岸でみつけ,SkouがPostとGrundfest研究室で会い,その夏の終りにモントリオールで開かれた国際生理学会に彼らは出席しお互いによく知り合うようになつた。
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