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I.はじめに
てんかんの実験的研究は長い間,人工的に薬理学や電気生理学的方法によって行なわれて来ており,現在もそれらによって多大の成果が挙げられていることは本特集の森論文にみられるとおりである。ところがこれらの方法では異常を人為的に作製するため,ヒトてんかんの大部分を占める真因性てんかん,あるいはその中でも遺伝性てんかんについて,われわれの関心が最も集中するてんかん原焦点の成立機序や病因について教えることが少ない。ところが古来,自然にけいれんを起こす動物,ネズミ類,イヌ,ニワトリなどが多く知られており,これらの動物がてんかん研究の実験材料に用いられれば人工的モデルに比して種々有利な点がある。この点に着目して近年これらを実験動物化する試みが始められ,突然変異あるいは自然発症を利用して選抜育種などの努力がなされて,モデル動物化され,多大の業績が得られつつある。
ちなみに,てんかんとは反復して起こる意識の変化とけいれん発作やその他の発作を主症状とする症候群で,中枢神経系の突発性の過剰放電を示すと定義され,多くは性格変化や精神症状を持っている。したがってけいれん発作はてんかんの主要ではあるが一つの症状にすぎず,てんかん以外の全身や脳の器質疾患にもよくみられる症状でもある。そこで上記のように自然発症性にけいれん発作がみられるだけでなく,中枢神経系に突発性過剰放電が見出されてはじめて,てんかんモデルと断定できるのである。
Abstract
The extensive researches on experimental ani-mals which are susceptible to epileptic seizures of hereditary genesis and are studied mainly in Japan are reviewed in this paper. Additionally, several new findings obtained in our laboratory on E1 mice and Mongolian gerbils are described.
a) Firstly, the well known one of them is an El mouse. It was found in 1954 and reported as an ep mouse in 1959 by Imaizumi et al.. Since then, it has been developed into a pure dominant like mutant inbred strain susceptible to epilepti-form seizures and was registered internationally as El strain in 1964.
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