海外だより 印象記と研究室だより
国際会議に出席して
吉川 春寿
1
1東大栄養学教室
pp.39-40
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902606
- 有料閲覧
- 文献概要
本誌に,ストックホルムで開催された第10回国際血液学会に出席した印象を書いてくれとの編集部の依頼があつたが,私は血液学の専門家でもないし,ほかの,外国語に堪能な方々とちがつて講演をきいているときにはスライドを見ながら,なるほど,と一応は理解していても,あとで思いかえして見るとさつぱり覚えていないという情ないありさまで,今ここに印象を学問的に書くことはできない。しかし,今回のヨーロッパ旅行は,ほかに東ベルリンでの赤血球シンポジウムとジュネーブでの原子力平和利用国際会議とに出席するのも目的だつたので,これらに出席して感じたことだけ書いて見よう。
まず旅費の件について。前回も前々回も,先様で往復旅費と滞在費を負担してくれたから,私的な出費だけを心配すればよかつたが,今回は,国際血液学会からの招待講演だとはいつても,300ドル支給されるだけだつたから旅費の工面がこたえた。こういう時,つくづく日本は世界のはてだなと思う。ヨーロッパの各国からならこれで十分だろうし,アメリカからでも,これだけあればまあまあだろうが,われわれにとつては月給の何カ月分かをプラスしなければならない。学会では日本から30人くらいの主として臨床の先生方に会つたが,皆さんどうして来られたのだろうか。
Copyright © 1965, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.