Japanese
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特集 機械的刺激受容の分子機構と細胞応答
機械的刺激に対する歯根膜細胞の応答
Responses of periodontal ligament cells by mechanical stress
安孫子 宜光
1
,
清水 典佳
2
Yoshimitsu Abiko
1
,
Noriyoshi Shimizu
2
1日本大学松戸歯学部生化学講座
2日本大学歯学部矯正学講座
pp.577-583
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902494
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歯根膜は硬組織である歯槽骨とセメント質に挟まれた線維性の結合組織であり,強固に歯を顎骨の歯槽窩に保持する役割をもつとともに,歯に加わった咬合力や外力を顎骨に直接与えないように緩衝し,また両硬組織が直接擦れ合わないよう,物理的にクッションとしての役割を果たしている。日常の摂食行動での咀嚼時にかかる咬合力,あるいは歯列不正や歯ぎしりなどに起因する機械的刺激が,ある程度歯槽骨に加わっても損傷しないように働いている。
歯周病の病型の一つとして過剰な咬合力によって引き起こされる咬合性外傷がある。咬合性外傷の病変は歯肉には発症せず,歯根膜,歯槽骨に起こる。高度に病態が進行すると,垂直性の歯槽骨の吸収をきたし歯の動揺を呈し,やがて歯の喪失を引き起こす。一方,歯列不正を矯正する歯科矯正治療の原理は,歯の移動方向に加圧することで圧迫側歯槽骨で骨吸収が起こり,移動と反対側すなわち牽引側では骨の添加が起こることを利用して歯を移動する。咬合性外傷,歯科矯正時のこれらの現象は,周期的伸展力あるいは加圧という機械的刺激が歯根膜組織に加わることで歯根膜細胞から炎症因子,骨吸収因子などが産生されることで説明されている。
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