Japanese
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連載 眼科図譜・355
アルポート症候群にみられた眼底病変
The fundus manifestations in Alport syndrome
藤原 温子
1
,
松尾 俊彦
1
,
松尾 信彦
1
Nagako Fujiwara
1
,
Toshihiko Matsuo
1
,
Nobuhiko Matsuo
1
1岡山大学医学部眼科学教室
pp.1450-1452
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905013
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緒言
アルポート症候群はIV型コラーゲンの異常により基底膜生成の障害をきたす遺伝性疾患である1〜5)。臨床的には進行性糸球体腎炎,神経性難聴,眼症状などが特徴的である。眼症状では前部円錐水晶体と,後極部を中心とした網膜の白斑がよく知られている1〜5)が,血管の脆弱性に基づく網膜の変化についての報告はこれまでになく,特に本邦における症例報告は筆者の知る限りなかった。今回筆者らは,初期には激しい網膜前出血と網膜浮腫をきたし,5年後に著しい網膜色素上皮の萎縮を示した症例を経験した。本症では基底膜異常が背景に存在するため,血管内皮細胞,ブルッフ膜,網膜色素上皮細胞などが脆弱となり,透過性亢進や菲薄化,変性を生じることに加え,腎炎の進行に基づく腎性高血圧および腎不全(透析)の影響で修飾された病像を呈したものと考えた。
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