Japanese
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特集 軸索誘導
ミエリン蛋白質と軸索誘導
Axonal guidance by myelin-specific proteins
松田 義宏
1
Yoshihiro Matsuda
1
1国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部
pp.573-576
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901273
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成熟動物に移植されたニューロンは,末梢神経系(PNS)の中では神経突起を伸ばし得るが,中枢神経系(CNS)環境内では突起伸展を示すことができないことが古くから知られている。同様のことはin vitroでも観察され,新生仔ラットからCNSニューロンを分離し,成熟ラットの坐骨神経または視神経と共培養を試みると,坐骨神経中へは数多くの軸索を活発に伸ばすのに対して,神経栄養因子としてNGFあるいはBDGFを加えた条件下でも,視神経側には軸索伸展が認められない1)。さらに,脳の凍結切片を基質とする培養系において,この阻害作用が白質部分で顕著であることが示された2,3)。これらの実験事実は軸索誘導に関する古典的な栄養因子仮説では説明づけることができず,成熟脳内に神経栄養因子の効果を上回る強い活性を持つ阻害因子が存在することが提唱された4)。本章では,CNSの軸索再生を妨げる働きの解析を通して明らかにされつつあるオリゴデンドロサイト特異的阻害因子を中心に,ミエリン成分による軸索誘導制御について概説する。
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