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特集 ミエリン化の機構とその異常
ミエリン化による神経軸索の成熟化と膜蛋白質の局在変化
Myelination regulates axonal maturation, and localization of plasma-membrane proteins
森下 博文
1
,
八木 健
1
Hirofumi Morishita
1
,
Takeshi Yagi
1
1大阪大学大学院生命機能研究科時空生物学講座心生物学グループ
pp.172-177
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100197
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ミエリン膜は,非脊椎動物から脊椎動物に至る系統発生の過程で,顎口類以降の脊椎動物の脳神経系に突然獲得された。ミエリン膜による神経軸索の絶縁効果は,神経活動の伝導速度の飛躍的上昇をもたらし,脊椎動物における脳神経系のダイナミックな情報処理能力の向上に貢献したことは疑いがない1)。ミエリン膜の形成は,個体発生の過程においても,構造的,機能的にダイナミックな変化を神経軸索に対して引き起こす。最近になり発達過程のミエリン化が,神経軸索の成熟化に重要な役割を担っていることが分子レベルで明らかになってきた。本稿では,特にミエリンとの相互作用に重要な軸索上の膜蛋白質に注目し,1)ミエリン化の開始,2)ランビエ絞輪の構築,3)ミエリン化の完成といった重要なステップにおける膜蛋白質の局在変化と分子機能に関して,われわれの解析結果も交えて最近の知見を紹介したい。
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