Japanese
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特集 軸索誘導
嗅細胞軸索誘導と接着分子
Olfactory axon guidance and cell adhesion molecules
森 憲作
1
Kensaku Mori
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター機能分子チーム
pp.529-533
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901265
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脳の研究者達は「神経系の機能を理解するには,ニューロンの組み合わせを決定し神経系を組み立てている基本原則を理解することが重要である」と長年にわたって繰り返し指摘してきた。軸索誘導では,特定のサブタイプに分化したニューロンの軸索が,特定のルートを通って特定の領域へと選択的に誘導され,特定の標的ニューロンまたは標的細胞を認識しシナプス形成に至る。従って,軸索誘導は「ニューロンの組み合わせ過程や神経系の組み立て過程」において中心的な役割を果たす。このことより,軸索誘導の研究は,その細胞レベルや分子レベルでのメカニズムの探索自体非常に興味深いが,さらに,これらの知識をもとにして,軸索誘導によって組みあげられた神経回路の機能ロジックを理解できるかもしれないという醍醐味をもっている。
本稿では,嗅覚神経系の嗅細胞軸索(嗅神経線維)の嗅球への投射における軸索誘導の細胞・分子メカニズムの知識をまとめるとともに,この軸索投射パターンと嗅覚神経系の機能ロジックとの関連を述べる。嗅覚神経系は下記の理由により,軸索誘導の研究に非常に適したシステムである1-3)。まず第1に,嗅細胞は成体においても常時新生され,軸索誘導の実験が困難な胎仔だけでなく成体の動物においても観察できる4)。
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