特集 受容体1997
Ⅱ.Gタンパク質共役型受容体
1.神経伝達物質・ホルモン
3)タンパク
LH/CG受容体
矢本 希夫
1
Mareo Yamoto
1
1和歌山県立医科大学産科婦人科
pp.448-450
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901246
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下垂体より産生される甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone;TSH),卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH),黄体化ホルモン(luteinizing hormone;LH)および胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chrionic gonadotropin;hCG)は,糖蛋白ホルモンであり,αとβのサブユニットより構成される。αサブユニットは種特異性を,βサブユニットは各ホルモンの作用特異性を担っている。男性においてはLHは精巣の標的細胞であるライディヒ細胞に作用し,アンドロゲンの産生を刺激する。一方,女性では初経から閉経までの期間において,約40万個の原始卵胞のうち約500個の選択された卵胞のみがFSH,LHとエストロゲンの協調的作用のもとに発育・成熟し,排卵,黄体形成,維持,退行に至るが,残りの多くの卵胞は閉鎖の過程をたどる。このように,精巣などの他臓器には類をみない卵巣の卵胞発育,閉鎖,排卵,黄体形成,退行には,ゴナドトロピンの受容体を介した内分泌(endocrine)作用に加え,性腺ペプチド,成長因子,サイトカインなどの局所因子による傍分泌(paracrine),自分泌(autocrine)的調節機構が存在するものと考えられる。
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