特集 受容体1997
Ⅱ.Gタンパク質共役型受容体
1.神経伝達物質・ホルモン
2)ペプチド
ホルミルメチオニルペプチド受容体
黒須 洋
1
,
堅田 利明
1
Hiroshi Kurosu
1
,
Toshiaki Katada
1
1東京大学薬学部生理化学教室
pp.423-425
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901239
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好中球やマクロファージは,外部から体内に進入した細菌に対する生体防御において中心的な役割を担う血球細胞である。骨髄内,血液中,血管壁辺縁に存在する好中球が進入した細菌に対して防御機能を発揮するには,これらの存在場所から血管内皮を抜け出し,細菌の増殖部位へ正しく遊走されなければならない。好中球に遊走性を与える因子としては細菌由来であるホルミルペプチド,血清由来の補体であるC5a,またLTB 4やIL-8などのサイトカインなどが知られている。これらの走化性因子は,好中球細胞膜上の受容体に結合することにより様々な細胞応答を引き起こす。以下に,走化性因子であるホルミルペプチドの受容体について概説する。
[リガンド]原核生物では翻訳開始の際に,ホルミル化されたメチオニンと結合したtRNAがアミノアシルtRNAとして機能する。このため,合成されたペプチドの最初のメチオニンだけは必ずホルミル化されており(fMet),このペプチドのことをホルミルペプチドという。
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