Japanese
English
特集 老化
テロメア・テロメレースと細胞老化
Telomere, Telomerase and Cellular Senescence
田中 宏美
1
,
押村 光雄
1
Hiromi Tanaka
1
,
Mitsuo Oshimura
1
1鳥取大学医学部生命科学科細胞工学講座
pp.547-552
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901148
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高等生物の正常細胞は少なくとも培養系においては無限に増殖することはできず,一定の分裂回数の後,増殖を停止する1)。このような培養細胞における現象を細胞老化と呼び,細胞工学的手法を用いた多くの研究により,この細胞老化は遺伝的支配を受けていると考えられている2)。一方で,細胞分裂を数える回数券の役割を果たすと考えられている染色体末端(テロメア)の短縮が,細胞老化やがん化と深い関わりを持つことを示す知見が得られてきた3,4)。すなわち,正常細胞では分裂するたびにテロメアは短縮し,ある閾値を超えると細胞は老化するが,がん細胞や不死化細胞ではテロメレース活性があるためにテロメアが補足され,それ以上短縮することなく一定の長さを保ち無限増殖能を獲得する5)。したがって,テロメレース活性をコントロールする遺伝子が細胞老化誘導遺伝子の一つの候補と考えられる。本稿では,細胞老化におけるテロメアダイナミックスとテロメレース制御機構における最近の知見を紹介する。
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