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解説
Helicobacter pyloriの胃・十二指腸粘膜障害に及ぼす影響の電子顕微鏡的観察
Electron Microscopic Study of the Morphological Changes of Mucous Cells by Helicobacter pylori
緒方 卓郎
1
Takuro Ogata
1
1高知医科大学第一外科学教室
pp.157-163
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901076
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胃にらせん状桿菌の存在していることは古くから知られていたが,1884年MarshallとWarren1)により胃粘膜からHelicobacter pylori(以下Hpと略)(当時はCampylobacter pyloriといわれていた)の分離培養が成功して以来,Hpと胃炎,消化性潰瘍,胃癌との関連が注目を集め,本菌に関する膨大な研究が発表されるようになった。Hpは一般的には組織には非侵入性であり,粘液細胞の表面に近接した粘液層中にみられることが多く,ウレアーゼで尿素よりアンモニアを生成し,酸性環境を緩和するといわれ,また空胞化細胞素(VacA)などをもって,粘液細胞の空胞化,変性,壊死などを起こさせるとされている。また本菌の除菌が潰瘍の再発率を減少させていることが報告されている。Hpは成人になると陽性率が増加し,本邦の成人では報告により異なるが,十二指腸潰瘍の胃粘膜で95%以上,胃潰瘍で75%,Non-ulcerで60%程度の陽性率とされている。しかし,Hpが実際どの程度胃・十二指腸疾患に関連しているかという点,とくに形態学的な研究にはいまだ不明な点が多い。
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