特集 遺伝子・タンパク質のファミリー・スーパーファミリー
2.DNA複製・修復
ヘリカーゼスーパーファミリー
榎本 武美
1
1東北大学薬学部遺伝子薬学講座
pp.394-396
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900942
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[構成員]DNAヘリカーゼファミリー,RNAヘリカーゼファミリー,DEADボックス蛋白質ファミリー,DEAHボックス蛋白質ファミリー
概説
ヘリカーゼは,ATPの水解エネルギーを使って二本鎖のポリヌクレオチドを巻き戻して一本鎖にする酵素の総称で,巻き戻す基質がDNAかRNAかにより,DNAヘリカーゼ,RNAヘリカーゼと呼ばれ,両者はDNA/RNAヘリカーゼスーパーファミリーを構成する。このファミリーに属する蛋白質は七つのヘリカーゼドメイン(Ⅰ,Ⅰa,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ)をもつ(図1)1,2)。ドメインⅠはGxGKT/Sというアミノ酸配列をもち,ATPの結合に関与する。多くのヘリカーゼでドメインⅠaにチロシンが保存されており,このドメインはポリヌクレオチドへの結合に関与していると考えられている。ドメインⅡはATPの水解に必要で,このドメインのなかにDEADという配列やDEAHという配列をもつ多くの蛋白質が知られていて,DEADボックス蛋白質,DEAHボックス蛋白質とも呼ばれ,ファミリーを形成している。DEADファミリーやDEAHファミリーに属さないヘリカーゼでもDEは保存されている。ドメインⅢはATPの水解とヘリカーゼ活性とを共役させるのに必要であることが示唆されている。ドメインⅣとⅤの機能は明らかにされていない。ドメインⅥはポリヌクレオチドへの結合に必要な領域である。
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