特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ
3.マウス・ラツト
社会相互作用テスト
原 千高
1
1第一薬科大学薬学部薬理学講座
pp.430-431
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900774
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目標
社会相互作用テスト(social interaction test)とは,薬物の抗不安作用を評価するために2匹の動物間の相互の社会行動を利用したもので,File らにより確立された。すなわち,まだテリトリーが確立していない新奇の場所に2匹の雄性ラットを置くと,2匹の間の社会的関係を形成するための行動が観察される。これには社会的行動パターンを含む社会的相互作用(social interaction)と受動的体接触(passive body contact)がある。前者は,お互いに嗅ぎあったり(sniffing),後から追いかけたり(follwing),お互いに毛づくろいをしたり(allogrooming),上から乗りかかったり(mounting)といった社会的関係を形成する要素となるものである。後者は,お互いに身体を寄せ合ったまま腹臥位でじっとしている状態で何の相互作用もない場合である。
このsocial interactionの出現頻度は,2匹の動物の置かれた場所が暗くて慣れた所であれば高くなり,逆に明るく不慣れな場所であれば低くなる。すなわち,social interactionの出現頻度が低い場合は不安水準が高いことを意味し,この出現頻度を指標に抗不安薬の評価が可能となる。
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